こんにちは、くりはら けんです。
数学、好きですか?
高校で生徒と対話していると
- 「数学なんて大人になったら使わないよね?」
- 「数学やっててなにかいいことあるんですか?」
- 「算数までで十分!足し算、引き算、掛け算、割り算がわかればいいですよね?」
っていう声が少なくありません。
数学教員としては、とてもさみしい気持ちになってしまいます。
そこで今回は、この意見に対して数学教員が反論と深堀りをしてみました。
「数学は必要ない!」論者の言い分
数学不必要論者は、おそらく次のことを考えるんだと思います。
数学を使う機会がない!
大人になってから数学使いますか???ってよく聞かれます。
2次関数のグラフを知っていても役に立ちますか?
サイン、コサイン、タンジェントって覚えても役に立たないよね?
図形の性質わかってても意味ないですよね?
これらの知識があっても、なんの役にも立たないから、数学はやりたくないという理由付けですね。
数学苦手な人は多いですよね?
数学が苦手な人はいっぱいいますよね。◯◯さん、◯◯先生も苦手だったって言っていました。だから自分もやらなくていいんです!
…暴論ですね(笑)
でも、高校生はそういう人の意見、情報を集めたくなるんです。
苦手でも生きていける。なんなら、わからない大人も多い。だから自分もわからなくても大丈夫!
と思いたくなるんだと思います。
数学の大切さはなんとなくわかる。でも…
数学の大切さは、なんとなくわかります。
でも、それを自分が知らなくても特に問題ないですよね?という論理ですね。
AIや各種ソフトウエアの裏側には、数学の知識が生かされていると気づいても、使用する分には知識がなくても問題ないということですね。
「高校数学の内容は大人になっても使わないよね?→はい、その通り!
では、高校数学の内容は、大人になって使いますか?に対する私の回答は…
「はい!その通りです!!」
確かに、数学の知識がないと困る場面は少ないかも知れません。
でも、数学の知識が世の中の役に立っていることは多いんです。
例えば…
- パラボラアンテナはどこを切断しても、切断面は2次関数になる。
パラボラアンテナは2次関数の特徴を使った道具なんだよ。 - 階段の踏み板と上がる幅の長さがわかれば、階段の傾斜が求められる。
これは三角比を利用したものなんだよ。 - ネットで買い物したことある?ネットの暗号化の技術、RSA暗号は、素因数分解を使っているんだよ。
- 地震の規模を表す数値にマグニチュードってあるよね。
マグニチュードが2から4になったら、規模が2倍になったってわけではないんだよ。
これは、対数関数を使っているんだよ。
…などなど。
数学の先生に聞くと、こういう小ネタを持っている先生も少なくありません。
でも、たぶん、数学が必要ない!って思っている生徒に伝えても、
「ふーーーーん」(別に興味ないけど…)
で終わっちゃいます。
「数学は必要ない!」の本質
では、「数学は必要ない!!」って思っている人は、本質的にはどんなことを思っているか。
「数学が必要だということを教えて下さい!」と言っているわけではないんです。
本質は、
「数学は必要ない!!(だから、勉強しなくてもいいですよね!?)」
と言いたいんです。
それに至った経緯はさまざまあると思います。
- 小学校のころから算数が苦手だった。
- 数字を見るだけで抵抗を感じる。
- 算数、数学を教わった先生が好きではなかった。
- 中学(高校)の数学から苦手になってしまった。
- 素早く計算を処理するのが苦手。
そんな生徒に、数学の有用性を熱弁しても伝わらないんです。
生徒の求めている答えと、教員側の意見に明らかなズレがあるんです。
でも、その生徒の胸に秘めている思いを論破しても、数学に向かうわけはない。
では、どうするか。
「うん、キミの気持ちはわかった。では、この問題を解いてみようか。これはね…」
と、目の前の練習問題を解いてみようと促すことしかできないと私は思います。
ちょっとでも、この問題が解けたという気持ちを持ってもらえればいいなと思うんです。
まとめ
数学って難しい。確かにそう思います。
小学校で学んだ算数の知識を使って、中学校の数学へ。
中学校の数学で学んだことを使って、高校の数学へ。
と、積み上げの学習内容なので、どこかでつまづいてしまうと、途端についていけなくなってしまう。
だからこそ、苦手意識が強い人が多いんだと思います。
「数学は必要ない!」と考え、目の前の学習から逃げてしまいたくなる気持ちも理解できます。
でも、ちょっとでも、1問でも、1行でも、
わかった!解けた!面白い!
という感覚を思ってもらえれば、世の中の見え方が変わるんじゃないかなと、私は信じています。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
ではまた!!
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